Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)は、任天堂が開発して2017年に発売した家庭用ゲーム機。日本でのキャッチコピーは、「カタチを変えてどこへでも」「いつでも、どこでも、誰とでも」(本体パッケージには「play anytime, anywhere, with anyone.」と英語で表記されている)。
2015年3月17日、任天堂とDeNAの「資本・業務提携発表会」で、「全く新しいコンセプトのゲーム機」として「NX(開発コード名)」の開発を公表した。任天堂の4代目社長の岩田聡は「スマートデバイスでゲームビジネスを展開するのは、ゲーム専用機ビジネスへの情熱や展望を失ったのではない。スマートデバイスをどうやって活用するか決めたところで、今まで以上にゲーム専用機ビジネスに展望や情熱をもっている」とした。 「任天堂はゲーム専用機から撤退し、スマートフォン向けゲームに乗り換えるのではないか」という誤解が世間で生じさせないようにする為、NXの存在が公表されたという。
2016年10月20日の日本時間の午後11時より各国の任天堂の公式サイトなどを通じ、「Nintendo Switch」として正式に発表された。
2017年1月13日の日本時間の午後1時よりメディア・ビジネスパートナー向けの発表会として東京ビッグサイトにて開催された「Nintendo Switch プレゼンテーション 2017」では「任天堂の娯楽のDNAをしっかりと受け継ぎ、すべてを積み込んだ」と紹介され、Nintendo Switchは「任天堂が販売した歴代のゲーム機の特徴を受け継いでおり、まさに任天堂の集大成とも呼べるゲーム機となっている」と公表された。
2017年2月1日の任天堂の「2017年3月期 経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会」にて、Nintendo Switchを日本では希望小売価格29,980円で発売で、アメリカでは希望小売価格299.99ドルで発売としており、Wii Uとは異なり、基本的に赤字を出さない価格設定であるとした。
任天堂はNintendo Switchのコンセプトの「持ち出せる家庭用据置型ゲーム機」に「最初からついている左右一対の2つのJoy-Con」という特徴が加わることで、いつでも、どこでも、みんなで一緒に楽しむことができる新しいゲーム機、「既存の据置型ゲーム機の範疇には入らないゲーム機」としつつも、「携帯型ゲーム機としての利用もできる据置型ゲーム機」としている。
任天堂はNintendo Switchのソフトウェアラインナップを考える上で、発売から順次、間を開けることなく新しいゲームタイトルを提供することで、ゲームを継続的に遊んでもらい、話題を維持し、Nintendo Switchのセールスの勢いを維持する目的があると語った。
Nintendo of Americaの元社長のレジナルド・フィサメィは「Nintendo Switchは境界なくゲームを切り開き、ゲーマーが自分の好きなように自由にプレイすることが可能である」と紹介しており、任天堂の5代目社長の君島達己は「NXはニンテンドー3DSやWii Uの後継機ではない」と発言していた。
君島達己によるとNXという開発コードは、Nintendo Switchの開発に深く関わっていた岩田聡が命名したという。名前の由来は命名した当の岩田聡しか知らず、君島達己ら他の経営陣や社内の開発者らに語る機会もなく、本機の完成と発売を見ることなく他界してしまったため、誰もその由来を知らないという。
Nintendo Switchの総合プロデューサーである小泉歓晃は、Nintendo Switchのテーマを「24時間、いつでもどこでも誰とでも、というテーマでやっている」と語っている。
Nintendo Switch本体には液晶ディスプレイとバッテリーを装備しており、Nintendo Switch専用のコントローラーである「Joy‐Con(ジョイコン)」を装着することで携帯型ゲーム機としても利用できる。Joy-Conには付属の「Joy-Conストラップ」を取り付けることにより、安全性を高めることもできる。また、Joy-Con内蔵のバッテリーへの充電機能も備わっている。
Nintendo Switch本体を「Nintendo Switchドック」という周辺機器に差し込むことでテレビに繋げて据置型ゲーム機として遊ぶことができる。Nintendo Switchドックには、本体に内蔵したバッテリーへの充電機能、テレビと接続するHDMI端子とUSB端子、ドック接続時の電源供給機能を備えている。
ソフトウェア媒体は、ニンテンドーゲームキューブからWii Uまでは一貫して使用していた光ディスクを採用していない。据置型ゲーム機・携帯型ゲーム機としてプレイシーンにあわせて3つのプレイスタイルで遊べるように設計されたため、ニンテンドーDS、ニンテンドー3DSから続くフラッシュメモリ方式のゲームカードを採用している。また、任天堂の据置型ゲーム機でロムカセットを採用したのは、NINTENDO64以来となる。
また、2019年にはNintendo Switchの「バッテリー駆動時間が長くなった新モデル」とNintendo Switch本体とコントローラを一体化させて、携帯モードへと特化させた廉価モデルである「Nintendo Switch Lite」が発売され、 2021年にはNintendo Switchの液晶画面が有機ELとなった上位モデルである「Nintendo Switch(有機ELモデル)」が発売された。
Nintendo Switchの「本体」とは、このタブレットを指す。Nintendo Switchは任天堂とNVIDIAが共同開発をして、製造の半数以上をフォックスコンが行っている。NVIDIAはSoCだけではなく、アルゴリズム、コンピュータアーキテクチャ、システムデザイン、システムソフトウェア、API、ゲームエンジン、周辺装置などの開発も担っている。NVIDIAはNintendo SwitchのSoCについて「カスタマイズされたTegraプロセッサー」と明言しており、「GeForceゲーミング・グラフィックカードと同じアーキテクチャーのNVIDIA GPUが含まれている」としている。
任天堂のゲーム機はこれまでニンテンドーゲームキューブ、Wii、Wii Uと、IBM PowerPC CPUおよびAMD 製GPUが採用されてきた据置型ゲーム機の系譜と、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDS、ニンテンドー3DSというARMアーキテクチャを採用してきた携帯型ゲーム機の系譜があったが、TegraはARM系であり、携帯型ゲーム機の流れがメインストリームとなるかたちとなった。任天堂の据置型ゲーム機として考えた場合に、初のARMアーキテクチャの採用であり、業界内でも3DO以来久々に登場したARMアーキテクチャの据置型ゲーム機となった。
Nintendo Switch本体にJoy‐Con、Nintendo Switchドックを接続・分離することで、プレイシーンにあわせた3つのプレイモードに切り替えることができる。
Wii U専用のコントローラーであるWii U GamePadと比べてベゼルが狭くなり、ボタン類が本体上部に配置されたことで、シンプルでスッキリとしたデザインに仕上がっている。
本体の機能
静電容量方式タッチスクリーン(投影型)
タッチ操作やスワイプができる。
明るさセンサー
空間の明暗の状況に応じて画面の明るさの自動調節が可能。
Bluetooth
2021年9月15日配信のアップデートにより対応。Bluetooth機能搭載のヘッドホンやスピーカーなどと接続した上で利用できる。但し、本機能を利用している間は接続できる無線コントローラーが2個までに制限されるほか、ローカル通信との併用は出来ない。
通信機能
ローカル通信
Nintendo Switchを持ち寄れば最大8台までローカル通信で対戦や協力などのマルチプレイが可能。
インターネット通信
Nintendo Switch Onlineに加入すればインターネット対戦や協力プレイが可能。さらにスマートフォンで友だちと待ち合わせやボイスチャットなどのサービスの利用も可能。
Joy-Con
Joy-Con グレー
Joy‐Conグリップ
Joy‐Con充電グリップ
Joy‐Conには「Joy‐Con(L)」と「Joy‐Con(R)」の2つがあり、Nintendo Switch本体に接続・分離することで、プレイシーンにあわせた3つのプレイモードに切り替えることができる。2つのJoy‐Conをそれぞれ単体のコントローラーとして使ったり、Joy‐Conグリップの左右にJoy‐Conを接続し1つのコントローラーとしての利用、Joy‐Con充電グリップに取り付けての利用、さらには本体にJoy‐Conを付けることで携帯型ゲーム機としての利用も可能。
HD振動
一般的にはハプティクス技術や触覚技術と呼ばれており、今までの振動機能とは違い「触感」を得ることができる。例として、Joy‐Conをグラスに見立てた場合、グラスの中でカランカランとぶつかっている氷の音や数まで表現され、まるで本当にグラスを手に持っているかのように現実的な触感が得られる。Nintendo Switchではリニア共振アクチュエータ(LRA)方式が採用されている。
モーションIRカメラ
Joy‐Con(R)に搭載されたモーションIRカメラは、カメラの捉えた物がどんな形をしているか、どんな動きをしているか、どのぐらいの距離かを読み取ることができる。例として、ジャンケンのグー、チョキ、パーといった手の動きを読み取ることができる。
NFC
NFCを搭載しており「amiibo」に対応するゲームも登場する。Joy‐Con(R)のRスティックにamiiboを接触させて読み取らせる。NFC制御用のOSにイーソル株式会社が開発したμITRON4.0仕様準拠リアルタイムOSが採用されている。
キャプチャーボタン
Joy‐Con(L)のキャプチャーボタンを押すと、プレイ中のゲーム画面を撮影することができ、バージョン:4.0.0以降のNintendo Switch本体では長押しすることで最大30秒の動画を保存することが可能。この録画機能は現時点ですべてのソフトには対応しておらず、今後、対応ソフトが増加する予定となっている。
加速度センサー・ジャイロセンサー
Joy-Conを傾けたり動かしたりしてゲームをプレイすることができる。
Nintendo Switchドック
Nintendo Switchドック
HDMIで接続しテレビへの映像出力、本体の充電、電源の供給が主な機能となっている。Nintendo SwitchドックにはUSB端子が3つ(側面×2、背面×1)付いており、Nintendo Switch ProコントローラーやJoy‐Con充電グリップなどの周辺機器を接続できる。Nintendo Switch本体とドックを接続・分離することで、プレイシーンにあわせた3つのプレイモードにシームレスに切り替えることができる。接続はUSB Type-Cだが、端子保護のための工夫がされている。
Nintendo Switch Proコントローラー
Nintendo Switch Proコントローラー
Nintendo Switch本体とは別売のコアゲーマー向けのグリップ形状のワイヤレスコントローラー。HD振動に対応するなどJoy-Conと同等の機能を持つが、方向ボタンが十字ボタンになっているほか、モーションIRカメラは搭載されていない。既存の任天堂のProコントローラーとの互換性はなく、Nintendo Switch専用の規格となっている。また、公式には発表されていないが、Nintendo Switch Proコントローラーの右のスティックの奥の基板に隠されたメッセージが刻まれている。バージョン:3.0.0よりUSBケーブルでの有線接続が可能になった。しかし、有線接続時はNFCが使用できなくなる。
プレイモード
Nintendo Switchは据置型ゲーム機・携帯型ゲーム機としてプレイシーンにあわせて3つのプレイモードが可能なため、ゲームの遊び方も自分のスタイルに合ったプレイができる。また、ゲーム中であっても、電源を切ることなくスムーズに移行できる。
TVモード
Nintendo Switchドックをテレビにつなぎ、本体をセットすれば、テレビの大画面で据置型ゲーム機としてゲームがプレイできるモード。
テーブルモード
本体のスタンドを立ててJoy-Conをおすそわけして、テレビのない場所でも画面をシェアして、対戦や協力プレイができるモード。
携帯モード
本体の左右にJoy-Conを接続すれば、移動中や外出先など場所を選ばずに、携帯型ゲーム機としてゲームがプレイできるモード。
内蔵サービス
システムフォントはUD新ゴが[70]、ファイルシステムはexFATが採用されている。
Nintendo Switch Online
Nintendo Switch Onlineは、Nintendo Switchで利用できる有料オンラインサービスである[71]。2018年9月19日の日本時間の午前9時から正式にサービス開始(サービスの正式開始までは全てのユーザーに無料で提供)。料金プランは1アカウントで利用する個人プランと最大8アカウントまで利用できるファミリープランがある。利用すると複数のサービスが受けられる。オンラインサービスに未加入であってもニンテンドーeショップを利用する等のオンライン利用については無料。また、フォートナイトなどNintendo Switch Onlineのロゴの表示がない作品はサービスの加入状況に関係なくオンラインプレイが可能。
インターネット対戦・協力プレイ
一部ゲームソフトに搭載されているインターネット対戦・協力プレイモードが利用できる。
Nintendo Switch Onlineアプリ
遠くの友だちと世界のライバルとボイスチャット(13歳以上のニンテンドーアカウントが必要)やオンラインプレイの待ち合わせが簡単にできたり、ゲームと連携して対戦結果などを確認できるスマートフォンアプリ「Nintendo Switch Online」が使用できる。
Nintendo Switch Online加入者限定特典
2018年9月19日のサービス開始からファミリーコンピュータ Nintendo Switch Onlineの配信を開始し、なつかしのファミコンゲームが収録されている。2019年9月6日からはスーパーファミコン Nintendo Switch Onlineのサービスが追加された。
セーブデータお預かり
本体内のセーブデータをインターネット経由で預けることができるサービス(一部ソフトを除く)。
加入者限定特典
ファミリーコンピュータ コントローラーがマイニンテンドーストアで購入可能。
Nintendo SwitchソフトのTETRIS 99やパックマン99が追加料金なしでプレイ可能。
2本でお得 ニンテンドーカタログチケットが9,980円で購入可能。任天堂が販売するゲームソフト2本と引き換えができる。
Nintendo みまもり Switch
「Nintendo みまもり Switch」はペアレント・コントロール用のスマートフォンアプリで、18歳以上のニンテンドーアカウントがあれば利用できる。
プレイ時間をみまもる機能
子どもと約束したゲームの時間をセットしておけば、ゲームに夢中になって約束の時間を過ぎてしまっても、アラームで子どもに知らせる機能。保護者は子どもが約束を守ってプレイしているか確認することができ、「ソフトを中断する」をONにすれば、約束の時間になると自動でゲームプレイを止めることもできる。
プレイ状況をみまもる機能
プレイしたゲームタイトルとプレイ時間を知らせる機能。日々の状況だけでなく、月に1回、その月のプレイ状況をまとめた記録がプッシュ通知で届くレポート機能もある。
機能制限
CEROの対象年齢を守らせたり、Nintendo Switchで撮影したゲーム画面のSNS投稿や友だち以外の人とのコミュニケーションを制限する機能。
HOMEメニュー
Nintendo Switchの中心となる画面で、ソフトウェアや各種機能を起動するためのメインメニュー。Joy‐Con(R)のHOMEボタンを押すことで呼び出すことができ、フレンドやアカウントの管理をはじめ、各種設定の変更もできる。
ゲームニュース
ゲームに関する最新情報などを、インターネット経由でNintendo Switch本体で受信し閲覧する機能。『チャンネルを見つける』で見たいゲームニュースのチャンネルを登録すると、そのゲームソフトに関するニュースが届くようになる。
ニンテンドーeショップ
ソフトなどのダウンロード購入のほか、TVCMや紹介映像など、ソフトの情報を閲覧する機能。Nintendo Switchのニンテンドーeショップにアクセスするにはアップデートが必要となるが、バックグラウンドでダウンロードされ素早くインストールされるようになっており、ゲームを中断する必要がない。
アルバム
撮影したゲーム画面などを閲覧したり、編集して、SNSに投稿したり、スマートフォンなどに転送ができる機能。TwitterまたはFacebookへの投稿も可能で、本体には画面写真は1000枚、動画は100本まで保存することができる。
なお、君島達己は発売時点でのインターネットブラウザの搭載はないと明言しており、ニンテンドーアカウントとの連携、ニンテンドーeショップ、画面写真のSNS投稿等の機能専用の内部ブラウザはACCESSの「NetFront Browser NX」が使用されている。