金(きん、英: gold、羅: aurum)は、原子番号79の元素。第11族元素に属する金属元素。常温常圧下の単体では人類が古くから知る固体金属である。こがね、くがねとも呼ばれる。
見かけは光沢のあるオレンジがかった黄色すなわち金色に輝く。金属としては重く、軟らかく、可鍛性がある。展性と延性に富み、非常に薄く延ばしたり、広げたりすることができる。同族の銅と銀が比較的反応性に富むこととは対照的に、標準酸化還元電位に基くイオン化傾向は全金属中で最小であり、反応性が低い。金を溶解する水溶液としては、王水(塩化ニトロシル)、セレン酸(熱濃セレン酸)、ヨードチンキ、酸素存在下でのシアン化物の水溶液がある。熱水鉱床として生成され、そのまま採掘されるか、風化の結果生まれた金塊や沖積鉱床(砂金)として採集される。
これらの性質から、金は多くの時代と地域で貴金属として価値を認められてきた。化合物ではなく単体で産出されるため精錬の必要がなく、装飾品として人類に利用された最古の金属で、美術工芸品にも多く用いられた。銀や銅と共に交換・貨幣用金属の一つであり、現代に至るまで蓄財や投資の対象となったり、金貨として加工・使用されたりしている。ISO通貨コードでは XAU と表す[1]。また、医療やエレクトロニクスなどの分野で利用されている。
ホワイトゴールド (White Gold、日本語: 白色金) とは、主に宝飾品として利用される、金を主体とする白い合金である。宝飾品の分野では、頭文字をとってWGという略号が用いられる場合がある。金属体に刻まれる表記は(18金のもので)K18WG、もしくはK18のように省略される場合がある。
装飾品としての利用が多く、一般には18金ホワイトゴールド (K18WG)と14金ホワイトゴールド(K14WG)が使われる。尚、貴金属合金の混合比は重量比を千分率(‰:パーミル)で表す。
18金ホワイトゴールド - 金750‰、残り250‰はニッケル系(他に銅、亜鉛など)またはパラジウム系(他に銀、銅など)の合金。
14金ホワイトゴールド - 金585‰、残り415‰はニッケル系(他に銅、亜鉛など)またはパラジウム系(他に銀、銅など)の合金。(注:14金は585‰に相当し、JISや造幣局品位検定は、585を最低値としている。)
体積について混合比を見る場合、18金ホワイトゴールドの場合でも、金の体積は全体の5割程度である。これは、混合された金属に比べて金の密度が大きいためである。
脱色用の金属(漂白材)としてニッケルを使用するものはハードホワイトゴールド、パラジウムを使用するものはソフトホワイトゴールドと特に呼ばれることがある。前者は鮮明な白色だが硬くて加工が難しく、後者は白さは劣るが柔らかいという特徴がある。
ニッケルが金属アレルギーの原因となるため、ヨーロッパでは「ニッケルに関するヨーロッパ指令」によって、合金からのニッケルの溶出量が一定以下に規制されている。日本国内では特にニッケル含有貴金属についての規制はないが、ヨーロッパから輸入されるホワイトゴールドジュエリーはこのヨーロッパ指令をクリアしたもので、成分分析検査によれば、ほぼ5〜7パーセントの含有率である。
ホワイトゴールドはニッケル系、パラジウム系とも完全に白色ではない。特に、漂白材の含有率が低い場合や、ニッケルがアレルギー問題で忌避され、パラジウムは相場高騰等の理由で他の金属が添加される場合など、黄色みが多く残り、その製品が市場に供給され、消費者からクレームが殺到した。これに応えて、社団法人日本ジュエリー協会では、ホワイトゴールドの色相の範囲を定めた。内容は、色表示法のうち、Lab方式を採用し、ロジウムめっきの色相を基準値(0点)とし、⊿E14(デルタE14)までをホワイトゴールドの色相の範囲と定義している。現在は、この定義に沿って多くのメーカーが材料を用いている。K18のみの刻印でロジウムめっきがされている製品は、イエローゴールドなど他の色調の材料や、JJAのホワイトゴールドの色の範囲の定義からはずれている材料の可能性が高い。